お久しぶりでございます。先月末からは9本同時にボディ製作を進めております。お店へ行くもの、オーストラリアからのオーダー、そしてアーティストモデルといった内訳です。そのうち5本がソプラノ、しかもそのうち4本がマホガニーという…。やっぱりこれもインスタグラムで製作者本人がマホガニー製のソプラノを実演している影響でしょうか。昔っから「ソプラノ(オーセンティックな345mmスケール)が一番好きだ」と言ってきましたが今も変わっておりません。写真はマイクロカールしたベアクロウ杢が美しいジャーマンスプルースとインドローズのソプラノです。
▫️6年ぶりの3作目のアーティストモデル製作
こちらは先週から作り始めたジャーマンスプルースtop、ハワイアンコアside&backでアーティストモデルです。久しぶりのアーティストモデル製作に気合いが入りまくっております。2013年アピラクさん、2016年hookさん以来6年ぶりの興奮息巻きつつのハイスペックモデル。今回のテナーは東京在住アーティストで名渡山さんの盟友でもいらっしゃる佐藤友紀さんからのご依頼です。木材の指定以外はこちらまかせと言うことでめっちゃワクワクです。
表板に使うドイツ松は大きめのベアクロウ杢がうっすらと入ったアコースティックギター用のものを用意しました。友紀さんから「弦はダダリオEJ65Tで」とのご指定を受けて冬目にコシありそうな縦方向の負荷に強うそうなしっかりとした松をチョイス。難しいのはやっぱり厚みをどこまで落とし込むかです。2.5ミリ厚まで落としてロゼッタ入れた後に1.9ミリまでさらに落とす。ボディが組み上がった段階の最終研磨でコンマ1ミリ落として1.8ミリ厚を最終的に狙って行きます。ブリッジ周りだけを1.7ミリまで落としてブレイシングはほぼノンスキャロップです。
今回のロゼッタにはこのスタビライズド材を使用します。杢の表面に着色する方法と違って真空状態で含浸するので材丸ごと染色される手法がスタビライズドウッド。ですので、どこをどう切っても同じ色です。
これを2枚スライスして左右対称の本開き状態で接着、つまりブックマッチさせます。継ぎ目がわからないようにキッチリ合わせるのがポイント。
ブックマッチして1.5mm厚に。これをロゼッタに嵌め込む輪切り状にしていきます。サッカーマン友紀さんをイメージして侍ブルーにしました。
ハマりました。ただ、今回のロゼッタの主役はあくまでもアバロン貝なのでスタビライズド材はその引き立て役に徹してもらいます。ここからが本番。
一番内側に配置する黒(エボニー)を切り出します。
内側のアバロンが1.5mm、外周側が1mm幅です。ステージの照明に照らされた時に美しい輝きを放ってくれるはずです。
丸二日間かかってやっとロゼッタの出来上がりです。
続いてサイドベンディング。この工程に関しては規定の厚みまで製材したらセットして5分で曲がってくれるので楽ちんです。昔は虎杢材を手曲げで何度も割って泣きを見てきましたがほんと楽になりました。やっぱり道具が一番大事だってことですね。
文句なしの虎杢、極上のハワイアンコア。
裏板を貼って
表板を貼って
バインディングを接着しました。今週はここまでです。来週パーフリングのアバロン貝埋めから再開いたします。
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