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スロテッドヘッド開発

こういう新しい試みは停滞を強いられるのが辛い

が、得られるものは多い

 

 

 

 

さんざん苦労した末に誕生させたスロテッドヘッドの出来栄えに我ながらニンマリ。2004年から楽器製作を始めて早20年。46歳にしてやっと念願のウクレレに特化させたコンパクトなスロテッドヘッドを製作することに成功。26だった若造もいつの間にやら50間近の中年漢になってしまいました…が、これコンサートモデルでも実に丁度良いサイズのヘッドだと思いませんか?今月前半丸っと時間をかけてテンプレートを何度も何度も作ってはやり直してを繰り返しました。テンプレートが出来上がったら次は実際にネックを作ってみて指板を置いてヘッドの角度に対して弦がどういうコースを辿っていくのかを検証しました。ペグを配置してみてポストの弦穴に通し、きちんと機能するのかもチェック。

 

 

 

 

 

試作ネックを作って改良点を洗い出すことの繰り返しでした。この停滞期間は精神的にかなり厳しいものでしたがステップアップには絶対に必要な時間。世の中にウクレレ専用のスロテッドペグが存在しないがゆえにここまで苦労するわけです。大抵はギター用のゴトー社のSEPシリーズを流用するかウェバリー製のこれまたギター用のものを流用するわけですが、その問題点は「重い」ということに尽きます。一個あたり25gもする。これが4つで100g強。300gちょっとしかないコンサート以下のボディでは明らかにバランスが悪い。さらにプレートの長さが33.5mmもあって横に並べると67mm以上の取り付け幅が必要になるので無駄に大きくなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

アルミ製の軽いプレートにニッケル製のポストを組み合わせて軽量化。一個あたり15gに。これで4つでも60g。プレートの長さも25mmで横に並べても取り付け長は50mmで収まる。

 

 

 

 

 

そうやって試行錯誤して出来上がった独自スロテッドデザインがこれです。ペグ取り付けのためのストレート部が52mm、ハの字形にして窄めて上二つのポストはグラインダーで削ってさらに軽量化。ストレート部から上は緩やかにカーブさせて従来のヘッドと同じイメージにまとめました。結果的に普通のUPTヘッドよりも一回り小さいものになったのは我ながらよくやったと。家内には「また新しいこと始めた。なんであえて面倒なこと毎年するの?」とのご諫言も。確かに売れ線をひたすら同じように作っていくのがベターなのは重々承知してるんです。でもね、疼いちゃうんですよ。…悪い虫が(笑)

 

 

 

 

 

 

暑い日が続きます。どうか皆様もご自愛下さい。