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PP400AE SLOTTED

PP400AE SLOTTED 

TYPE3

 

 

rosetta type  :PP(アバロン貝)

scale :400mm 19fret end

puff ring type :A (アバロン貝)

binding type :Ebony

body type :type3

 

top ベアクロウシトカスプルース

side/back ハカランダ

neck マホガニー

finger.b エボニー

slotted head

head face plate ハカランダ/鹿ロゴ

bridge エボニー

strings Ancestor's弦 (Extra Light)

peg UK12(BASE)/SEP770(POST)

 

 

先月前半すったもんだしつつ作ったスロテッドヘッド。その初号機がやっと仕上がりました。まずは写真をじっくりとご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

ヘッド化粧板は白黒積層の上にハカランダ

 

 

 

ペグは軽いアルミ製のUK12をベースにSEP700のポストを換装

 

ウクレレのスロテッドでよく使われるペグのSEPは1個25g、4つで100g。取り付け長は33.5mmで二つ並べると67mmもストレート部分がいるためボディとバランスがとりにくい大きなヘッドになる。目標としてはペグ単体を20g以下、ヘッド木部の無駄を削いで軽くしたい。そこでアルミ製のUK12をベースにSEPのポストを換装。1個あたり16gに。UK12ベースは25mm長かつ菱形で二つ並べてもストレート部は52mmしかいらない。取り付けネジは10mm⇨8mmのものにして木部を細く。ヘッドデザインをハの字型にして上二つのポストをグラインダーで削って短くしてさらに2gずつ軽量化。結果従来のスロテッドより小さく軽くすることに成功。純正ではないので多少回しずらいのは否めないですが巻き戻ったりすることは一切ありません。大変なのは弦を張り替える時だけの話である程度弦が落ち着いてくればそこまで何回転もツマミを回すことはないので問題ないと思います。それよりも問題なのがコスト面。ベースとなるUK12とポストとなるSEP770の二点を仕入れなければならず、これだけで2万近くかかってしまう。以前から何度か製造元のGotoh社に掛け合って「ポストだけ変えたUK12が欲しい」とHPから要望を送ったり直接連絡して頼んではいるものの電話口に担当者が出ることは一度もなく毎回事務員さんから伝言による門前払いで塩対応…(笑)。やはりウクレレのスロテッドにそこまでの需要が見込めなければ動きにくいのも仕方ないんでしょう。毎度ペグ仕入れに2万はちょっと痛い。

ヘッド厚が19mmになる分、ボリュート状になる

サイド材は漆黒のハカランダ

0.5mmの白線を入れてあります。

 

 

 

通常のタイプ3より2mmだけ深めのボディ

ハカランダの硬質な反射を緩和するための深さです。

漆黒のハカランダ

正直、製作家目線からすれば

弾かずとも観賞用として床の間に飾ってもいいくらいの贅沢な眺め

だと思います。

 

 

麗しき漆黒

サイドバックをここまで激写したのは初めてです(笑)

うーん、実に良きバックショット

指板にはキワヤ商会さんご指定で稲穂ワンポイントインレイ

シトカスプルーストップ

程よくベアクロウしてます

シトカ&ハカランダの硬質な組み合わせなので

ハイG専用機としてのご使用をオススメします。

 

ちょっとこれにローG張ってもバッキバキかもしれませんね。

 

 

 

今回初めて400mmというコンサートではこれまでで最長となるスケールを採用しました。仮説として400mmあたりを境にこのスロテッドのテンションが有効になっていくんじゃないかと考えました。400以下からソプラノはオーセンティックな柔らかさを基調として太めの弦でファットなサウンド作りを目指し、400から上のテナースケールまでのロングスケールはテンションを稼いだ上でそれに相性の良い弦をセッティングしてロングサスティンと煌びやかさを基調とする音作りを目指す。これまではそこの線引きをせずにソプラノからテナーまで同じコンセプトで作っていたから「テナーが苦手」と自称する事態に陥っていたことに気づきました。今後は目指す音作りを400mmを境界に分けて作り分けていこうと思います。

 

 

 

 

 

とは言え、いつも新作が出来たその時は自分自身で盛り上がってしまってこれが至上のものだと思い込んでしまう悪い癖がある。2、3ヶ月経ってから振り返るとあれは違ったなと冷静に見れたりする。これがお客さんてのはよく見抜いていて、そういうウクレレは得てして中々動かない。大金叩いて買う立場は常に真剣に選んでいるわけだから間口の狭いモノづくりをしているとわざわざ狭いストライクゾーンを自ら設定して動いてしまってることになる。自分でWEB販売をやってみてそのことを初めて痛いほど知ったわけで。どこの誰が自分のWEBページに来ていて何を欲しがっているのかを判断するのが難しいのが自前のネットショップの課題点。そこでプレオーダーシステムである程度の傾向は掴んで例えばSTシリーズを作ってみてもこれまた中々動かない。お店に置いて頂くとそれぞれお店ごとの顧客の動向を把握してこちらにオーダーしてくれるので動きやすくなるのは当然なんだなと。自分の突き詰めていくべきことと、販路の多様性を確保しておくことを大事にしながらやっていかないと自滅することに。そこは本当に気をつけねば。何かと気付きの多い一年です。