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弦選び

昨日の夕方、積乱雲の上に巨大な筋雲。

 

見たことないような形の雲でした。

 

 

FUJIFILM XF35mm/F1.4

 

 

 

 

 

 

日曜日に出荷作業を終えて次のロットの製作に本腰入れて取り組んでおります。今年は後半にアーティストモデルを国内外合わせ2本ご依頼を受けていて、おそらく10月ごろが最も神経使う頃合いになるかと思います。一本はご存知、TOMOKIさんの2本目のテナーをスロテッドで。もう一本はイギリスのアーティストの方から12フレット345mmのソプラノのご依頼。こんな岐阜の片田舎の工房でもインスタグラムやらフェイスブックで世界中の方が自分の仕事を見てくれていると思うとちょっと嬉しいです。アーティストに限らず承っているオーダーの一本一本に丹精込めて仕事させて頂く日々に感謝です。応援して下さる方々、いつもありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

さて今日のブログ記事はAncestor's弦についてです。

 

 

皆さんはウクレレ弦をどのように選んでいますが?材質、ゲージで本当に多種多様なブランドのものがありますよね。自分のウクレレにとって最良の選択が出来ているのかを判断するのはとても難しいと思います。正解はないというのが正解でもあるので結局のところ使う人の好みでしかありません。有名なユーチューバーが「これが絶対オススメ!」と言っているのを参考にするのも良し、自分自身で調べまくって選び抜いて試してみるのも良し。

 

ただ、一つ絶対的な正解があるとすればそのウクレレを作った本人がそのウクレレのために拵えている弦だと思います。他のウクレレについてはよく分かりませんがAncestor's製のものに最もマッチするのがAncestor's弦であることは間違いありません。なぜそう言えるのかを書いていきます。

 

ウクレレの製作方法は大まかに分けると二つ、スパニッシュ式とジョイント式です。このどちらかで作っていくことは大方同じ。音作りで違ってくるのはもっと細かい部分。表板の構造や厚みをどう設定してその表板を受けるサイドバックをどう組み立てるか。さらに細かい点で言うと、表板の厚みを2.2mmにするか2.1mmにするか、2.0mmにするか、1.9mmにするか、1.8mmにするか、1.7mmにするか、1.6mmにするか。針葉樹なら冬目と夏目のどのあたりを使うのか、広葉樹ならうねりを避けてどこにあたりをつけるのか。書き出すと選択肢はもっとたくさんあります。同じウエスタンレッドシダーであっても一つとして同じものはなく、個体ごとに作戦を練っていきます。表板の方向性が決まったらサイドバックの作戦会議です。サスティン重視の場合は比重の大きい材を厚めに、またはアタック重視の場合は軽い材を薄くなど狙うサウンドの方向性よってボディを組み立てていきます。

 

 

そういったプロセスを経てウクレレを組み立てて行った先にそれとマッチする弦を張って初めて気持ち良い音が出るという結果に至ります。製作者本人が製作プロセスの上に立って推奨しているのが工房オリジナル弦です。

 

 

 

 

 

ウエスタンレッドシダーに最適なのは…

 

Extra Light弦です。最も比重が軽いシダーは軽いタッチでもレスポンスよく鳴ります。細弦でも太く鳴るのでExtra Lightが最も合います。Lightでもいけます。Normalだと余計に弦が強すぎて表板が負け気味になるのでオススメしません。

 

 

 

 

スプルースにオススメな弦は…

 

  • イングルマンスプルース⇨Extra Light
  • シトカスプルース⇨Extra Light/Light
  • ジャーマンスプルース⇨Light 

 

基本的にスプルース系はExtra Light、Lightどちらも有効です。 フラットで軽快なサウンドがお好みなら前者、少しファットなサウンドがお好みなら後者を選択すると良いと思います。

 

 

 

 

広葉樹系にオススメの弦は…

 

  • マホガニー⇨Light
  • サペリ⇨Light
  • コア⇨Normal
  • ローズ⇨Normal

重くなるほど太めになりますね。

 

 

 

 

 

 

弦楽器の肝は当然、弦そのもの。だから何を張るかで全くキャラクターが変わってしまいます。弾きやすさと音の良さが両立する弦を探すのってなかなか難儀しますよね。